境界の攻防の果てに

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早くここから連れ出して、病院に連れていかなければと百々は史生の体を抱き締めるも、ドアの前には弘雄が立っている。 「大丈夫だって。薬はそのうち抜けるから。史生ちゃんの体は大事に扱うに決まってるだろ。」 だってーー 八重ちゃんの体なわけだからーー 「え・・・」 「言っただろ?」 八重ちゃんは痩せていたから、スリムな史生の方が似ているーー 顔は、従姉妹である七恵の娘の百々の方が似ているーー 「それに、百々ちゃんも史生ちゃんも親友だから、いつまでも一緒だと嬉しいよねえ。一つになって、八重ちゃんになれたら、最高だよねえ。」 支離滅裂とも思える弘雄の言葉が指しているのは、ただ一つ。 「八重ちゃんを呼び出せ。四屋敷の跡取りならできるだろう?そして、史生ちゃんの体に入ってもらえば、八重ちゃんはまた生き直せる。ああ、もちろん、まだ不完全だからーー」 八重ちゃんがきたらーー 百々ちゃんの頭を、史生ちゃんにつけてあげるーー
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