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「ん・・・・・・だい・・・じょぶ・・・」
「しぃちゃん・・・っ!」
史生は無事だった。
史生は、まだ苦しそうながらも、百々を安心させようとしてか、不自由な口元に笑みを浮かべた。
それを見た百々の目に、涙がぶわっと盛り上がる。
その背後で、香佑焔がさも当然のように言った。
「私が護ったのだ。感謝せよ。」
「うん!ありがとう!ありがとう、こうえええええええん!!大好き!!」
史生の手を取りながら、百々は香佑焔に笑顔を見せた。
その笑顔のまま、百々の体がゆっくり後ろに倒れていく。
「百々!」
慌てて香佑焔が抱き留めたその時。
「百々さん!!」
階段を駆け上がる音がしたかと思うと、東雲が駆け込んできた。
真っ青になって顔を強張らせている東雲の顔は、その厳つさもあってまるで憤怒の表情のようだった。
その顔を見て、百々は一気に安堵すると共に、今度こそ本当に気を失った。
百々の体は、百々以外には見えない香佑焔の手から東雲の腕の中にすっぽり収まった。
何台ものパトカーと救急車が停まり、周囲が騒然としている中、百々と史生は救出された。
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