12555人が本棚に入れています
本棚に追加
/912ページ
罔象女神。
母たる伊邪那美命より生まれいでた、父をもたない女神。
迦具土を生むときに身を焼かれ、苦しみもがいた伊邪那美命の尿から生まれた神。
祈雨(きう)、止雨(しう)の力をもつ神。
灌漑の神、井戸の神。
水速や。
水生や。
水の源。
海に囲まれた島国で、長短合わせて多くの川をもつこの国において、水の力をもつ神の存在は非常に有利だ。
その地に赴いても、水の気はある。
それが神社となれば、さらに。
手を清め、口を清めることすら、水の力を使うのだ。
人々の生活に密着し、人々の生死すらわける水にかかわる神。
さらに、百々が生まれ住んでいる土地は、雪国でもある。
これまでどんな猛暑を迎えても、水不足になった記憶は一度もない。
豊富な雪解け水に恵まれ、米どころとして全国的に有名だ。
そんな地において、罔象女神が祀られ人々の祈りの対象になっていることは、何ら不思議ではなかった。
最初のコメントを投稿しよう!