罔象女神(みづはのめのかみ)

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罔象女神。 母たる伊邪那美命より生まれいでた、父をもたない女神。 迦具土を生むときに身を焼かれ、苦しみもがいた伊邪那美命の尿から生まれた神。 祈雨(きう)、止雨(しう)の力をもつ神。 灌漑の神、井戸の神。 水速や。 水生や。 水の源。 海に囲まれた島国で、長短合わせて多くの川をもつこの国において、水の力をもつ神の存在は非常に有利だ。 その地に赴いても、水の気はある。 それが神社となれば、さらに。 手を清め、口を清めることすら、水の力を使うのだ。 人々の生活に密着し、人々の生死すらわける水にかかわる神。 さらに、百々が生まれ住んでいる土地は、雪国でもある。 これまでどんな猛暑を迎えても、水不足になった記憶は一度もない。 豊富な雪解け水に恵まれ、米どころとして全国的に有名だ。 そんな地において、罔象女神が祀られ人々の祈りの対象になっていることは、何ら不思議ではなかった。
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