オセロ ――ERIとRIE――

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【登場人物】 黒崎 絵梨(20) 劇団「ステップ」団員、男勝りで好みは黒色とヘビメタ 白石 理恵(20) 劇団「ステップ」団員、ぶりっ子で好みは白色とロリータ 【ストーリー】  二人が目覚めるとそこは、劇団ステップのビルの屋外階段の踊り場だった。 黒崎絵梨と白石理恵は4階の踊り場で口論する内に階段を踏み外し、3階の踊り場に落下して気を失ったらしい。  次の舞台で、主役に匹敵する重要な役に選ばれた二人はライバルで、見た目も性格も真逆のまさに水と油。  そんな二人の魂が、何と落下の衝撃で入れ代わってしまったのだ。 冗談じゃないと二人は様々な手段を講じて元に戻ろうとするも無駄だった。 仕方なく元に戻るまでと言う条件で二人は同居する事に。  嗜好も喋り方も真逆の二人は、協力しあってお互いの癖をマスターしていく。  ただ、舞台においては相手を蹴落とす為にわざと下手に演じた。しかし次第にそれがお互いマイナスになるだけと知り、真剣に稽古に取り組むようになる。 その時二人は気付く。互いのバイト先で相手を演じる内に、自分に足りなかったものを学び、成長している事に。 ただの乱暴者だと思っていた絵梨が皆に頼りにされる優しい人間だと理恵は知る。 絵梨もまた、ぶりっ子の八方美人だと思っていた理恵が、みんなにいつも感謝される優しい魅力的な人間だと判った。 しかし環境が入れ代わったせいで失敗も多く、二人は中々舞台の練習に行けなくなってしまう。  そこで絵梨は、「理恵は役作りの為に特別なレッスンを受けてる」と団長に嘘をつき、理恵の降板を阻止。  理恵もまた、絵梨が役を降ろされないようにと団長に嘘をついていた。あれほど犬猿の仲だった二人だが、気づけば無くてはならない大事な存在となっていたのである。 相手にいい女優になってもらいたい――それはイコール自分がいい女優になることと同じだと思ったからである。  遂に舞台本番の日――努力が実り、二人はW主役として舞台に立った。 絵梨と理恵はお互い向き合い、自分の顔を見ながら「私が貴方をトップ女優にしてあげる」と笑い、手を繋ぎあった。  そして、相手の演技を引き立てるその息の合った演技に、会場からは大きな拍手。 その瞬間、何と二人の魂が元の体に!  感極まり泣きながら抱き合う二人――これからも一緒に頑張ろうねと。 しかしその絡み合う視線には再び熱い火花が散っていた。
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