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第2話 ルーノさんの常
所変わってもやる事は同じ。
私がモデルとなってルーノさんがそれを描く。
もちろん依頼内容によって演じる内容は違いますが、大筋一緒です。
そして今日も変わらず、私はルーノさんの部屋にてモデル中です。
「うん、うん、うん。いいねぇ、最高だよ!」
キャンパス越しに、そんな声が聞こえます。
鼻息荒すぎですよ。
向こう側でどんな顔をしているのか、知りたいような……知りたくないような。
「ポーズとか顔、大丈夫です? 変な感じになってません?」
「もちろん! だからそのままでお願い!」
今回のテーマは『花を愛でる女』だそうです。
だから宵闇の魔女やら魔法少女やらを演じる必要は有りません。
逆に素の姿を描かれてしまって、気恥ずかしいですが。
雇い主が納得してくれているので、ひとまず良しとしましょう。
「はい、お疲れさま! 残りは僕の作業だけだよー」
「わかりました。じゃあ私は戻りますね」
「うんうん」
「ご飯食べてくださいね?」
「うんうん」
「ちゃんと寝てくださいね?」
「うんうん」
気の無い返事ばかりが返ってきます。
もう目の前の作業に夢中って感じ。
まったく……大丈夫かなぁ?
私は不安を覚えつつも部屋に戻りました。
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