第1話 新生活

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「えーっとですね、パパとはこの街で知り合って、絵のモデルを……」 「ちがうの、おっきな街でのお話!」 「おっきな街って、王都の事ですか?」 「それ、オートの話!」 いずれこんな話をする日が来るとは思ってましたが、まさかそれが今日だとは予想外でした。 ですが、正直に洗いざらい話す気はありません。 こっ恥ずかしい失敗とか闇に葬りたいですからね。 私は馴れ初めをドラマ仕立てにするべく、頭の中でかつての記憶を辿ったのでした。 ーーーー ーー 「アリシアさん、今日からよろしくね」 「ええ、こちらこそ。たいして役に立ちませんが」 ここはルーノさんの新居です。 運び入れた荷物がイーゼルや画材くらいしかないので、悲しくなるほどの広さがあります。 奥にポツンと置かれたベッドが哀愁を漂わせています。 後で家具を買い込む必要がありますね。 「じゃあルーノさん、私はこの辺で失礼します。何かあったら声かけてくださいね」 「ありがとう。ゆっくり休んでてー」 バタン……。 ドアの閉まる、軽めの音が尾を引きました。 そう、私たちは同居ではありません。 隣にもう1部屋借りていて、そこが私の新居となります。 「こっちはこっちで、えらく殺風景ですな」 こちらも間取りは同じ、ガランとしてるのも同じ。     
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