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「わかりました。画材屋も寄りますから、大人しくしててください」
「うう、早く終わんないかなぁ……」
担当のお姉さんに寸法計ってもらってる間もソワソワきょろきょろ。
ルーノさんの波の激しさには毎度驚かされます。
公爵様やら伯爵令嬢相手の方が余程緊張するでしょうに。
仕立屋さんは流石に手慣れたもので、すぐに作業を終えて見積もりの作業に入ってます。ルーノさんにはとても長く感じたんでしょうね、ちょっとグッタリしてますよ。
「せっかくの休みが……なんて日だろう」
「そんな落ち込まないでくださいよ。そんな事言うなら、どんな過ごし方が良かったんですか?」
「うーん。新しい色の開発とか」
「普段と変わんないじゃないですか。もっと目新しいことしましょうよ」
「うーん。じゃあ、絵しりとりとか?」
「え? しりとりですか?」
「知らないの? やろうやろう!」
ルーノさんが胸元から取りだしたるは紙と鉛筆。
あぁ、持ち歩いてるんですね。
少年と虫取り網くらい親和性あります。
この手の話となると急に元気になるんですね。
さっきまで『この世の果て』みたいな顔してたじゃないですか。
「しりとりのルールを守りながら、お互いに絵を描いていくのさ。例えば、人を描いたら、次はトンボとかね」
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