第5話  余暇の過ごし方

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「ルーノさん。指導はありがたいですけど、私は別に画家になる気はありませんよ」 「そうかい? でもなぁ、これを放置するのはなぁ……」 「いいんです! ほら、見積もりができたみたいですよ!」 仕立屋さんが安定したスマイルで、こちらにやってきました。 騒がしい客を前にしてもブレませんね、ほんとプロですわ。 「詳細についてお話させてください。まずは上着の裏地についてですが……」 「あー、良いですよ。上手くやってください」 「それは、私どもにご一任くださるということでしょうか?」 「うん、ヘンテコにならなきゃ何でもいいからー」 「ルーノさん! そんないい加減な!」 「じゃあよろしくー。アリシアさん、画材屋いこッ」 逃げるようにしてルーノさんはお店を飛び出していきました。 そこまで服屋さんが苦手ですか? まぁ、おしゃれな美男美女だらけで気後れはしますけど、それは過剰反応では? ひとまず店員さんに頭を下げ、逃亡者の後を追いました。 画材屋さんは路地に少し入った所にあります。 ジメっとしてる感じが却って面白味を演出してるお店。 その中にルーノさんは既に入り込んでました。 本当に頭には絵の事しか詰まって無いのでしょうね。 「デートっぽくなんか、なりそうに無いですね」 実は出発前はちょっと期待してました。     
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