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窓際にベッド、そして安っぽいテーブルセットがあるのみ。
私もクソ貧乏ですからねぇ。
乙女の部屋と呼ぶにはあまりにも武骨で、ほんのり寂しさを覚えます。
急ごしらえに飾った花も、わざとらしく目に映りますね。
「こんなんじゃ、ルーノさんとか部屋に呼べませんねぇ」
あ、いや、別にルーノさん限定じゃなくて。
私も年頃の女性ですから?
男性をその、ご招待することもあるでしょう?
いやいや、ルーノさんが来ても良いんですけど、そういうタイプじゃないっていうか。
でも、万が一来たとしたら、こんな感じですかねぇ……?
◆
「アリシアさん、ちょっといいかな」
街が寝静まった頃、ルーノさんが部屋にやってきました。
虚ろな目をしていて、普段と様子が違います。
ゾクリと寒気を感じましたけど、とりあえず中に招き入れました。
「こんな時間にどうしたんです? まさか、夜這いじゃないですよね?」
ちょっとした軽口だったんですが、無視されてしまいました。
ココロに地味なダメージ。
そうですか、アリシアさんは対象外ですか。
「まぁルーノさんは期待の超新星ですから、私みたいな妄想女なんか……」
「そうだよ」
「ですよねー、私なんか見向きもせず……」
「アリシア!」
「は、はいッ!?」
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