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「っくしょー!女がなんだあああ!!!」
「八洲、お前酔い方がアナログ過ぎんだよ…」
「るせー!酒だ!!酒持ってこーい!!」
「春団治か!」
何とでも言え。
同期の三津橋だけが俺の対面で呑んでたが、流石にうざくなってきた様で隣の先輩グループの所へと行ってしまった。
はあ…。俺も水野係長みたいなスパダリだったらフラれる事なんて無かったんだろうなー。
斜め向かいのテーブルの中心にいる水野係長を、俺は座敷に置かれたローテーブルに半身を投げ出す形に突っ伏してその様子を眺めている。
…皿に山盛りになった枝豆の殻越しに。
足を崩すこともなく、一本の線を引いた様な美しい姿勢で正座をする水野係長の居場所は、見事なまでにハーレムだ。周りを取り囲んでいるのは女性社員だけだ。
だからと言って妬みや僻みの感情は起こらない。それ程までに完璧。まさにスパダリだからだ。
部下の仕事のミスに対しては単に叱責するだけで無く、どうしてそうなったか、同じ事を繰り替えさない為にはどうするかを導いてくれる。
先輩や上司にだってフォローは忘れない。先輩の顔を立てて取引先には自分のミスということにサラッとしておくので、水野係長には頭の上がらない上の人達は探せばボロボロ出て来るだろう。
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