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最悪の出会い
ひなたはファストフード店へ入ると、奥にあるテーブル席に座り、ゆっくりとホットココアを飲んだ。
まだ胸がドキドキしている。
ひなたは大きく深呼吸した。
たった今オーディションが終わり、二十人の中からなんとひなたが優勝を勝ち取ったのだ。
……ほんと水着審査がなかったのが、ラッキーだった。
気持ちが落ち着くのを待って、携帯電話(スマートホンは高くて手が出せないので、ガラケー)で、叔父さんに電話をかけ、優勝したことを告げる。
叔父はひなたの唯一の身寄りで、今回のオーディションの際の保護者にもなってくれた。
ひなたの身の上は知っているので、全面的に協力してくれたのだ。
ひとしきり叔父さんと喜びを分かち合い、電話を終えたとき、ひなたの向かいの席に誰かが座った。
他にも空いている席があるのに……と怪訝な思いで顔を上げると、目の前に座った男性に見覚えがあった。
切れ長の少しつり気味の目が印象的なイケメン。スラリとスリムな長身、年は二十代後半か三十代前半……。
……そうだ。さっきのオーディションの審査員席の一番端に座っていた、確か……。
「シャイン芸能事務所のスカウト部主任の月野和哉(つきのかずや)だ」
ひなたの心を読んだみたいに、男は口を開いた。
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