欲情

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 静かな部屋に二人の荒い呼吸だけが聞こえている。  ひなたはのしかかっている月野の重さを愛おしく感じながら、彼の速い鼓動を聞いていた。 「……ごめん」  唐突に月野が謝った。 「え?」 「こんなこと、するつもりじゃなかったのに……」 「そんな……なんで謝るの? オレ、とてもうれしかったのにっ!」  思わず力いっぱい叫んでしまってから、我に返るひなた。  うわ。『うれしかった』なんて、オレ、なんて恥ずかしいことを……。  真っ赤になるひなたに、月野は泣き笑いのような表情を浮かべた。 「ひなた、おまえは本当に素直でかわいいな……」 「月野さんっ……」  ひなたが月野に思い切りしがみつくと、彼はやさしいキスを贈ってくれた。
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