幸せ。でも……

3/4
前へ
/83ページ
次へ
 どんなことでも一途で真っ直ぐなひなたは、仕事場へ向かう車の中で、単刀直入に月野に聞いてみた。 「月野さん、オレのこと子ども扱いしてるでしょ?」  月野はハンドルを握りながら苦笑した。 「なんだよ? 急に」 「……オレのこと子ども扱いしてるから、さ、最後までしないんでしょ?」 「……は?」  月野は絶句した。 「……おまえ、いったいなんてこと言うんだよ……」  いつも冷静な月野がかなり戸惑っている。  ひなたは太ももの上で両方の拳を握りしめ、言葉を続けた。 「オレ、月野さんのこと、すごく好きで……愛してる……。だから……、月野さんと、その、ひ、一つになりたい」 「ひなた……」  月野が戸惑い顔から困ったような微笑みになる。 「体を繋ぐことだけが愛の形じゃないだろ? オレはおまえのことが好きだし、すごく大切に思ってる」 「…………」  ひなたは納得できなかった。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加