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「金をもらってする仕事に楽なものなんてないんだよ。おまえなんかな、こっちからやめろって言わなくても、一か月ももたないよ」
月野に鼻で笑われて、ひなたはムッとした。
生まれつきの負けず嫌いの性格が顔を出したのだ。
「そんなことありません。……着替えるときさえなんとかできれば、女の子として絶対にモデルの仕事、半年間続けてみせます!」
「……分かった。着替えのことはオレがなんとかしてやるよ。で、おまえが半年間、『moon』でのモデルをやり通せたら、うちの事務所で拾ってやるよ。そのときはちゃんと男としてな。ま、どこまでがんばれるか、オレが傍でじっくり見ていてやるよ、坊や。……いや、今はまだお嬢さん、か」
揶揄するような口調で言うと、月野は席を立ち、店を出て行った。
ひなたはムカムカしていた。
なんだよ、あいつ。
絶対絶対モデルの仕事、やり遂げてみせるからな。
半年後に、あいつが事務所に誘ってきたら、こっちからそんな話、蹴ってやるんだから……!
――こうして、ひなたのモデルの仕事が始まったのだった。
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