一章

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春、桜が咲きほこり、風が舞って散っていくのを窓から見ていると、一台の車と引越しのトラックがマンションの入口前に停まった。 このマンションは家族連れが多く、一人暮らし向きではない。 今空いている部屋は、自分の部屋と間取りが同じ、3LDKの隣の部屋か、一つ下の2LDKの部屋しか残っていなかったはず。 そう思い、玄関の覗き穴から隣に来るのかどうか暫く興味津々で見ていた。 業者が微腰で傷がつかないようにする他の準備をするのに入ってきたのを見計らって、覗き穴に来たので、もし隣の部屋ならばそろそろ前を通るはずだ。 ポーンと音がし、急いで前を通過する男性の後から、引越し業者の制服を着た二人組。 「どんな人だろう?」 そうは思っていても、今の時代隣とはいえ挨拶に来る人は少ない。
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