二章

2/16
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
それから数週間、変わったことといえば、ゴミ出しの際に奥さんが付いてくるようになったこと。 特に話すことは何も無かったが、ゴミを捨てたあと部屋に戻るまでの間の無言の重圧が、「私知ってるのよ?」と言われているようでだんだんと耐えられなくなり、少し時間をずらして捨てに行くようになった為、朝の一時がなくなってしまった。 掃除して、洗濯をして、パートへと行き、スーパーへ寄って帰宅し、ご飯を食べて就寝する。 元の生活に戻ったと思えばそれでいい。 たった二ヶ月、少しでも一緒にいられた。 そう思おう…… それでも、もしかしたらとたまに奥の桜の木のそばのベンチに座って、彼が来ないだろうか?と22時頃までたまに待つ。 「来るわけないか」 そう思って帰ろうとベンチから立つと、「誰が来ないって?」と後から声がする。 「洋輔さん……」 「何度も来てたんだけど会えなくて」
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!