一章

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数日後、朝ゴミを捨てに行くのにエレベーターに乗ると、大量のゴミ袋を持った先輩が駆け込んできたので、開けるのボタンを押す。 エレベーターを閉めて一緒にゴミ捨て場まで行き、ゴミを捨てたあとに「なんで何も言わずにいなくなったんだ?」と聞かれた。 口篭っていると、「済まなかった」と言われ、まだあの頃と何も変えていないから。 そう言われた。 もちろん私も変えてはいない。 「私も変えてません。でも……」 「今度はちゃんとするから。もう俺も逃げないから。君が離婚できなくても待ってるから」 「もう、離婚してます……何年も前に」それだけ言ってロビーに戻る時、「連絡待ってるから」 そう言われ、何も答えずにエレベーターに乗って三階のボタンを押す。
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