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03.暗雲の下の老婆
エマとダイスが戻ってきてからは、気まずい雰囲気が漂っていた。グリム兄弟にとってダイスとは相容れない部分もあり、ウレシアには例の動揺の件で話しかけづらい。かと言ってエマに話しかけることを、ダイスは簡単には許さないだろう。
この異様な沈黙のまま、グリム兄弟はエマ一行の後ろをついて歩いていた。
「おいどうするよヘルム」
「うーん、魔女について調べるなら彼らと一緒にいてもうまみはないんじゃないかな」
「よし、じゃあここで別れよう」
ヤコがそう決め、エマ一行に告げようとすると、先にダイスが口を開いた。
「これ以上はついてくんな!」
突然の訣別だった。グリム兄弟にとっては都合のいいことだったので良かったが、それでもダイスがここにきて急に同行を拒否してきたのには、どうしても違和感を感じた。
「ああ、俺たちもそのつもりだよ」
ヤコはそう言って、エマ一行から離れた。ヘルムも礼を言って離れた。
エマ一行はそのまま街の中へと消えていった。途中、エマが何やら物憂げな表情でこちらに振り向いたことに、グリム兄弟は気付いていなかった。
「多分、彼らの住処があるんじゃないかな?その場所を知られたくないとか」
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