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02.魔女
ヤコの発言に対する反応は、四つあった。
一つは、そうなんだよ、それ聞かされたら驚くでしょう、とでも言いたげなヘルムの笑み。
一つは、そんなの知るか。そんなことより剣が一番だ、とでも言いたげなダイスの舌打ち。
一つは、嘘!そんなの聞いたことない!そんなことある!?、とでも言いたげなウレシアの困惑。
そして一つは、底知れぬ少女の眼差し。
「ちっ、いい加減にしろよこの人殺しが…」
「いい加減にするのはあんたでしょ!」
剣を構え直すダイスの後頭部に、ウレシアの怒りのゲンコツが振り下ろされる。
ダイスはうめき声を上げ、頭を抱えて地面に座り込む。
「あはは、おっかないなぁ」
ヘルムは苦笑いで誤魔化す。ヤコは小さくため息を吐いた後、三人に向かって自己紹介を始めた。
「俺はヤコ・グリム。そいつは弟のヘルム・グリムだ。…俺たちは魔法の詠唱に関する研究をしてるんだ」
ヘルムはウレシアのそばから離れ、ヤコの隣に移動した後ペコリと頭を下げた。
「僕たちは研究のために旅をしてて、魔女がこの地域にいるって話を聞いたんです。そしたらこの男性が血塗れで倒れていて…魔女にやられたと言い遺して息を引き取りました」
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