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注意深さが幸いして、ほどなく彼は、探していたものを、見つけ出した。
ツツジの茂みに身を投げ出すようにした、それはまだかたちを保っていたが、黒く煤けたヒトガタのような外観だった。
先刻の遭遇で、笹内が呪符と祭具とを使い、うつわをわずかに引き裂いた。そこから逃げるうちに、少しずつ、欠損していったのだろう。依り代が不完全だと、こういうことは、しばし起こり得る。
「喼急如律令」の呪符を添え、そこの清流にでも流してやれば良い。悪鬼の残り香はすすがれ、うつわは還るべきところへ還っていくだろう。実に、簡単な依頼だった。笹内の予測通りに。
簡単に終われる仕事。その筈だったのだ。問題は――。
煤けたヒトガタに寄り添うようにして、座り込んだ、そちらのひとの方だ。
「……香緒里ちゃん」
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