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小ネタ②
「占いを覚えています」
「何で、香緒里ちゃんが……」
「所長が事務所にいらっしゃらないことが多いので。占ってくれ、って勝手に入って来るお客さん、結構いらっしゃるんです」
「そうなの? 看板出していないのに」
「表札をご覧になって……。『占いってのは細々とやってるところの方が意外と当たる』っていう持論をお持ちの方、結構」
「そうとも言えないと僕は思うんだけどね……。所長不在でお断りできない?」
「伝えるのですが、納得してもらえなくて」
「なるほど。香緒里ちゃん、かわいいから」
「…………。そういうの、このご時世、もう許されませんよ」
「一般論だ。好かれやすいというのは自覚すべきだろう。……それで? 占ってあげるの?」
「そうすることで満足する方もいらっしゃるようなので。見習いなのでお金はいりませんって言うつもりです」
「まあ……それで納得して帰るなら、その方が早いかな……。で、何で、敢えてこれ?」
「私だって、釈迦に説法ということができるほど、怖いもの知らずじゃないですよ……。プロの方の前でやるの、恐れ多いじゃないですか。だから」
「だから?」
「所長も練習相手になってくださいね。はい、シャッフルが完了しましたから」
「強引……」
「占うのは、あなたの未来です。あなたの今のお悩み事は――さしずめ厄介な部下との関係性といったところでしょう」
「おいおい、香緒里ちゃん……」
「表面意識では《隠者》のカードが正位置で出ています。現状では落ち着いた、思慮深い対処ができているようですね。そして潜在意識のカードは」
「……占い師さん、これは本当に……占いなのかな?」
ひらり、冷たい指先でタロットカードがめくられ。
現れたのは逆位置の《吊るされた男》。
これは宣戦布告だ。
***
大人(といっても18~19)香緒里の殺意が高すぎる件。
殺し愛… とまで言わないのですが、いつ寝首を互いにかくか、かかれるか、みたいなバディが好きで、もっと見たいと思います。裏切り、愛憎、大好物。
こんな小ネタまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました!
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