俺とさとみとパンデミック

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俺 二十代。平凡な若者。 さとみ 二十代。俺の彼女。可愛い。 ゾンビ 群。 あらすじ 俺は落下しかけたところを階段の手すりにつかまってなんとかしのいだ。踊り場の下はゾンビの群。ビルの下もゾンビの群。上を見上げれば恋人のさとみ。 俺は混乱の中思い出す。 東京はゾンビに侵された。生き残るためにはこのビルの屋上に登って救助のヘリに飛び乗るしかない。俺とさとみは死にものぐるいで階段を駆け登っていたのだが…… 「いま、押した?」 「えー? そんなことするはずないじゃん」 たしかに。恋人であるさとみがそんなことをするはずがない。ゾンビの群れに落下しかけた衝撃で記憶が混乱しているのだ。そうにちがいない。気をとりなおして再び階段を駆け上り始めるが、さとみの挙動が…… 「やっぱり隙あれば俺を落とそうとしてるよね!?」 「だからそんなことしてないってば」 「なんで!? 二人で一緒に逃げようよ! 俺のこと愛してないの!? ねぇさと」 「うるせー!!」 突如撃キレするさとみ。昔から俺の女々しいところが嫌いで、ゾンビに追いかけられるこの後に及んでヒーヒー泣き言を喚いているのを心底煩わしく思ったらしい。 「いやだ、捨てないでさとみちゃん!」 「うるさい! 落ちろ! 落ちてゾンビの餌になれ!」 「やだー! 落ちたらゾンビになってさとみちゃんを追いかけてやる! ゾンビになっても愛してやる!」 下から迫り来るゾンビの群れ。もみ合う俺とさとみちゃん。目の前に迫った屋上で轟く爆発音。 どうやらヘリが落とされたらしい。隣のビルの屋上でロケットランチャーを構えたゾンビが親指を立てている。 炎上するヘリから命からがら飛び出してきたパイロットが、最後の力を振り絞って二人に武器の詰め込まれたトランクを渡す。 「……GOODLUCK」 「さ、さとみちゃん……どうしよう……」 「どうもこうも……やるしかない!」 「さとみちゃあ~ん!」 屋上に踏み込んでくるゾンビの群れ。2丁拳銃で立ち向かうさとみの背中はカッコいい。俺も震えながら武器を取る。 おわり
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