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「あ。今、それじゃあこの学校に通うという意味では同じだろって思ったでしょ」
「何故それを、と言おうと思いましたけど、まぁそれくらいは誰でも思い当たる矛盾ですよね。」
言った本人がわざと言ったんだろうし。
「安心して。転入してきたのは去年度のことだから。まぁ、去年度と言っても先月の話なんだけどね。」
「いや、それ結局ほとんど同じですよね!?」
「まぁまぁそんな些細なことは置いておいて。」
のらりくらりと揺らめきながら、辺見先輩は緩く笑う。
見た目と中身がこんがらがっている。
スカートのスリットもさることながら、なかなか奇抜な格好だ。
ショートカットは、ボサボサとまではいかないがかなり乱雑なのに、化粧はバッチリ整えてるし、短いセーラー服は臍がチラ見えする程に短い。
チャラいのか、それともおっとりしているのか、この先輩はわかりにくい。
正直言って面倒だ。
まぁ悪い人ではないんだろうけど。
「でもさぁ後輩くん。こういう状況ってなんだかわくわくしない?
謎の美少女に偶然出会うとか、よくあるライトノベルみたいで。」
「いやまぁ確かに謎の美少女に出会って奇想天外な出来事に巻き込まれるとか、そういうのって、男ならきっと誰でも一度は憧れるんでしょうけど。
それを美少女の目線で憧れてる人には初めて出会いましたよ。」
「あら。私ってやっぱり美少女に見える?いやー照れるなー。」
照れているなら照れている顔で言ってくれ。
真顔とまではいかないけど普通の表情で棒読みチックに言わないでくれ。
そもそも僕はあなたのことを美少女とは言っていない。美少女だけど。
「大抵の場合そういうのって、その美少女が何かトラブルを抱えていたり、もしくはその美少女がトラブルそのものだったりするわけだけど。君は私にどっちを求める?」
「どっちも求めませんよ。」
現実に起こればそれは、どっちだって碌でもない。
「僕はなんの面白みもない平凡な男なので、そういうものとは無縁だと思います。
それに、縁があっても僕じゃどうしようもできない。」
「うんまぁでも、平凡だからと言って行き合わないとは限らないと、私は思うけどねぇ。」
辺見先輩は僕を流し見る。
その仕草はどこか色っぽくて。
そしてどこか、恐ろしかった。
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