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偽装恋愛
「友達なら、当然、祝福してくれるよな!!」
藤堂 尚(ひさし)の右手を恋人つなぎで高く上げて、一之瀬 良一は言う。
そもそも、この騒動は一人の転校生が、全寮制の東雲学園にやってきたところから始まる。
何故か、転校生はイケメンホイホイだった上に、トラブルメーカーだったのだ。しかも台風の目よろしく本人には被害が無く、周りは暴風雨という有様。まあ、見た目は嵐の中を歩いてきましたというぼさぼさヘアーなのだが……。
要はアンチ系王道転校生ということだ。
藤堂尚は所謂巻き込まれ脇役ポジションの男だ。
クラスで隣の席だったという理由だけで付きまとわれ転校生の取り巻きや親衛隊に嫌がらせをされるという毎日を送っていた。
もういい加減堪忍袋の緒が切れるというところで、これまた何故か友人の一之瀬良一がわけのわからない発言をした。
尚の友人のほとんどは転校生に付きまとわれるようになって離れて行ったが、良一は違った。良一もかなりのイケメンとあって転校生は、ともに行動することにまんざらでもなさそうであったのだが……。
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