偽物→本物に

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偽物→本物に

その日は丁度、良一が用事があるってことで先に帰っていてくれと言われていた。 最近では転校生に振り回されることもめっきり減って、多分一人でもそんなに危なくはない。 だけど、恋人(偽装)は続けていたので大体は良一と帰っていた。 そもそも帰る先が一緒なので前から結構一緒に帰っては居たのだ。 「一之瀬、今日一人なのか?ダーリンは?」 俺と良一が付き合っていると思っているクラスメイトが聞いてくる。 漸くぎこちないながらもクラスメイトと交流を再開できたのが嬉しかった。 「なんか用事あるってさ。」 「あー、俺知ってる!告白だろ。あいつまた呼び出されてたぞ。」 その言葉を聞いた瞬間ズクリと内臓の奥の方が痛む。 なんだこれ。 だって、良一は前から良く告白をされていたし、そもそもあいつは女の子が好きな筈だし。 そんなことを思っているとどんどん吐き気に似た胃の痛みがする。 「今度はBクラスの子だろ。前に噂のあった。 恋人がいるって言うのに勇気あるよな。しかもめちゃくちゃ可愛いじゃん。 さすが良一だよな。」 無邪気に話すクラスメイトの声がどこか遠くで聞こえているみたいだった。 本当は恋人なんかいないんだ。良一はフリーなんだ。     
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