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付き合いたければ今日にでも誰とでも付き合える。
だって、俺とは恋人の振りをしているだけだから。
「どこで告白受けてるんだ?」
ポツリと漏れてしまった言葉はまごうこと無き俺の本音だった。
「おい、一之瀬お前めちゃくちゃ顔色悪いぞ。
大丈夫だって、良一が恋人裏切る様な不誠実な真似する訳ないじゃねーか。
お前らしくないぞ。」
クラスメイトに言われたが、上手く返事ができない。
だって、恋人でも何でもない。
ただただ、首を振るしかできなかった。
暫くして大分落ち着いて、そろそろ帰ろうかとなったところで丁度良一が戻ってきた。
隣には話に出たBクラスの子が居た。
どうやら、良一は忘れ物をしたらしかった。
一緒に帰るのかな?付き合うのかな?
頭の中をぐるぐると疑問がまわっている。
俺のことおいてその人と帰ってしまうのだろうか。
終わりにされてしまうのだろうか。
良一は男も大丈夫だったのだろうか。
嫌だ、嫌だった。
良一はどこにも行かないで欲しかった。
思わず立ち上がると自分の机で教科書を詰め込んでいる良一に駆け寄ってのシャツを掴んだ。
「嫌だ、行っちゃいやだ。」
切なくて、それが恋だとわかった。
偽物でいいから今だけでいいから行かないで欲しかった。
ジワリと涙が溢れぽろぽろとこぼれる。
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