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教室と同じように、はっきりと良一は言った。
その言葉にホッとしている自分が居る。
「だって、尚が好きだから。」
ほっとして力が抜けているところに追い打ちがかかる。
「こんな時まで恋人ごっこはやめろよ。」
涙声で振り絞ると良一の抱きしめる腕の力が強まった。
「俺は一度もごっこだなんて思ったことは無かったよ。
尚のことが好きだから。ずっともし恋人になったらしたかったことをしてただけだよ。」
良一の言葉に思わず彼の顔を見ると、良一は困ったように笑っていた。
そんな顔も好きだと思った。
気が付いてしまったら、良一の全てが好きだと感じてしまう。
「俺も好き。良一のこと好きだ。」
だから、本当の恋人として付き合ってそう続けようとした言葉は、良一からのキスに飲み込まれてしまった。
でも良一も同じ気持ちだって唇から伝わってきたからそれでいいんだ。
翌日、登校すると俺と良一が痴話げんか中で仲直りした事になっていて二人で顔を見合わせて笑った。
了
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