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なんて答えりゃいいんだよ、と言葉に窮するとよこから良一が「俺の事どう思ってるか教えて。」と言われた。
「そ、そりゃぁ、す、好きだけど。」
友達としてだけど、好きだよ。
何でこんな恥ずかしいんだよ。
間違いなく、今俺の顔は真っ赤だ。
すると繋いだ腕を、グイッと引っ張られ良一にギュッと抱きしめられた。
「何その顔、俺以外に見せないでよ。」
ぐいぐいと顔を良一の胸板に押し付けられ息をするのも辛い。
「折角、付き合ってる事隠さないって決めたんだから、暫くは二人っきりで過ごしたいんだ。
分かってくれるよな。」
良一は駄目押しの様に言った。
「さて尚、教室行こう?」
俺の事をそっと引きはがすと再度俺に向かって手を差し出した。
その手をもう一度取って、良一の顔を見ると、いつもの通り爽やかな笑みを浮かべつつも飄々としていて、なんだかなーと思う。
と、その時、いつもよりも明らかに真っ赤になっている耳が目に入って、瞠目した。
もしかして良一も照れてんのか?と思うと妙に気分良くて
「とっとと、教室行こうぜ。」
と繋いだ腕を軽く引っ張った。
嘘の恋人なんだから昨日までの関係と変わらない筈なのに高揚する気持ちが抑えきれなかった。
了
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