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翌日
尚(ひさし)は部屋のソファーでスマホを弄びながら、クラスメイトに良一とお付き合い(偽装)を始めた事を報告しようと思ったが、やめた。
離れて行った友人に恨みは無いし、一蓮托生で友人達まで巻き込まれなくて本当に良かったとさえ思ってる。
良一だって、明日からで構わないので恋人コッゴなんぞやめて自分から離れて欲しいと思う気持ちが無いと言ったら嘘になる。
だから、連絡する事が出来なかった。
俺と良一の恋人関係が嘘だと知っていれば、あの転校生の野生のレーダーに引っ掛かって巻き込まれるかもしれない。
良一の言いだした事とはいえ、俺も了承したんだ。
俺ら二人の思いつきの勝手な事情に誰かを巻き込む事だけはしたくなかった。
◆
「さて、ハニー。登校しますか?」
いつもの爽やかさをどこかに置き忘れた様な悪人面で良一が笑う。
「ダーリン、手でも繋いで行きますか?」
指定の革靴を履きながら、俺が良一を見上げると。
「ノリノリだな。」と苦笑気味に笑われた。
「こうなったらヤケだ。徹底的にラブラブっぷりを見せつけてやるから、良一も覚悟しとけよ。」
「覚悟って。」
良一は耐えきれなくなった様にふき出した。
「じゃあ行きますか?」
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