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第1章 入学と注目
黒が基調の服を着て、控えめに装飾品をつける。これまた銀製品だ。高い身長と体格の良さから、大人っぽい感じが出ている……と杏は興奮しながら話していた。お兄ちゃんは恐怖を感じたよ
「……ここか」
高級感溢れる獅子の像が門の左右を飾っていた。都会のど真ん中に、なんでこんな敷地が残っていたというのだろう。俺は無駄に多かった階段に舌打ちをして、インターホンを鳴らした。
『はいはーい、今開けるわね』
「ぇ、あはい」
野太い声を無理やり甲高くしている。
……オカマだ! オカマ寮父だ!
いや、俺は本当に大丈夫なのだろうか。今更怖くなってきた、初めて会話? した人間がオカマというのはあまりにも恐ろしい。
門は大きな音を立てて開き、インターホンから『寮に来てね~』という声がする。やっぱり異常だ、広すぎる。
遠くから運動部の声がして、俺は諦めのため息をついた。
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