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わたしが落ち着いた頃には、辺りが夕日色に染まり始めていた。
「ありがとう、あずさ」
「あたしは何にもしてないよ」
「隣にいてくれたから」
そう答えると、あずさは照れてしまったみたいだった。ジャッキーの頬を両手で挟んで茶化すように言う。
「ジャッキー、あたしら少しは役に立てたようだよ~」
きょとんとしたままジャッキーはされるがままになっていた。
「喉乾いたなぁ。ちょっとジュース貰ってくる。ここで待ってて!」
あずさはあっという間に立ち上がって、砂浜を走って行ってしまった。湿っぽいのが苦手な彼女らしい、大胆な駆け足だった。わたしは浜辺に座って夕日を見る。夕日は赤い、という言葉を全身で体感する。ジャッキーはわたしの膝に頭を預けて、うとうとしている。あなたは眠ってばかりね、とわたしは呟いた。
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