記憶

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初めてお年玉というものを貰ったのは、ちょうど小学校に入って初めてのお正月だった。お年玉ってなに? 聞いたこともない言葉に、僕は首を傾げた。 お父さんから、お母さんから、おじいちゃんから、おばあちゃんから、おじさんから、おばさんから、おねえさんから、おにいさんから、知らない人からも。 いろんな人から小さな小さな袋を受けとる。その中に入っていたのはほんの僅かな、気持ち程度のお金だったけれど、まだ小さかった僕にとっては夢のようなものだった。 「あけまして、おめでとうございます」 それは、その夢の詰まった袋を貰える魔法の言葉だった。 その夢の袋は、もれなく母に預けたのだけれど。
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