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毎日一緒に学校に行っていたのに顔を合わせる機会も減り、時々見かけても私の知らない友達と居たりするから声をかけられなかったりもした。
でも、冬になると「こたつに入りたいから」という理由で、諒太は来てくれるから。
だから冬は好き、そう思うようになっていた。
だけど……。
「諒太、昨日さ、久しぶりにおばさんに会ったよ」
相当面白いシーンなのか、夢中になって漫画を読み耽っている諒太に、ふと言った。
「へえ、どこの?」
こちらを見ることも無く、諒太はページを捲りながら返す。
これは、いつもならふざけるところだ。
でも、私は冗談に逃げたい気持ちを抑え、答える。
「諒太のお母さん。それで、おいしいお菓子を貰ったからって、家に呼んでくれた」
その言葉で、諒太はようやく漫画を読むのを中断して、こちらを向いた。
明らかに動揺した顔をしている。
「いつ?」
「昨日って言った。聞いてなかったの」
私はついつい冗談交じりの返答をしてしまう。
しかし、諒太がそれにノッてくることは無かった。
「……見た?」
暫く狼狽した後、そう尋ねる。
その、いつもとは違う張り詰めた口調に、真剣な面持ちに、私の心臓も大きく鳴る。
普段は決して感じることのない緊張が、私たちの間に立ち込める。
「諒太のベッドの下にあった、ちょっとアレな本なら」
「下ネタはガチでやめて」
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