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「貰った炬燵あったかいね。爺ちゃんの家の大掃除手伝って良かったね」
「ええ、でもこの炬燵って初めて見たのよね。お爺ちゃんも母さんも何で押入れの奥にあったのか知らないのよ」
母と私は向かい合わせに炬燵に入っていた。貰った炬燵はお爺さんが掃除してくれたので、すぐに設置し使用する事が出来た。
「ヤダ!母さん蹴らないでよ。右側にお互い寄ろうって決めたじゃない」
「寄ってるわよ?それに当たっても無ければ蹴っても無いんだけど?」
向かい合いながらそう言う為、一度二人して炬燵の中を確認する。やはり何も見えなかった。
「おかしいわね。見た通り足なんて当たって、、、、、、、、嫌ぁぁぁぁっぁぁっぁぁ!!」
母が飛び出した後、自分も母の見た方を見る。
向かい合っていた為に気が付かなかったが、横を見れば青白く切り傷まみれの足が飛び出していた。
「け、警察!母さん警察に!!えっ?」
そう叫んだ瞬間、家の電気が消えた。ブレーカーが落ちた訳では無かった様ですぐさま明かりが戻った。
「あれ?足が無い、、、、、、、嘘でしょ!母さんも見たわよね!!」
お互い夢では無かったと確かめ合ったが、やはりそこに足は無かった。
その日、父が仕事で帰って来ない日だった為、あまりの気味悪さに一番近い友人の家に無理言って二人して外泊する事にした。
次の日の朝、家に帰ると血で濡れた足で何度も蹴った様な跡がついた炬燵が、反対を向いてリビングの真ん中に置かれていた。
よく見れば炬燵の足の裏側にお札が貼られていた。お爺さんも気が付かなかったのだろう、剥ぐのも恐ろしかった為、その日のうちにすぐさま炬燵は粗大ごみを呼び引き取って貰ったのだった。
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