シンクさん

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 目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。  目覚めた女教師の目に入ったのは、不安そうにこちらを見つめる少年少女たち……自分の教え子たちであった。  ミカは小学校の新任教師で、この学校のことはまだ知らないことが多かった。  日々の業務に追われていたある日、子供達のあいだでウワサ担っている「シンクさん」なるお化けがいるのだという。  シンクさんはお化けといっても、イヤなものをやっつけてくれる正義の味方なのだそうだ。  しかし、シンクさんが流行りだしてから、何人かの生徒が行方不明なのだ。  その生徒たちは乱暴者で、素行の悪い生徒であったために、気づくのが遅れた。  夏休み、ミカはたまった仕事を片付けに登校していた。  生徒たちはいないはずなのに、なぜか、誰かに見られているような感じがする。  暑さのせいではない、イヤな汗が流れた。  ふと、あれだけうるさかったセミの鳴き声が聞こえなくなった。  その途端、何かの獣の叫び声が聞こえてきた。  その雄叫びを聞いた途端、ミカは気を失った。  次にミカが目を覚ますと、少年と少女たちが屋外階段の踊り場で小さく隠れているのが見えた。  彼らは真っ黒なお化けに追いかけられたので、逃げている最中だという。  クラスメイトはもうすでに、何人もそのお化けにやっつけられたのだ。  シンクさんとミカたちのデスゲームが始まった。
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