0人が本棚に入れています
本棚に追加
さっき自分が掃除してピカピカな床に再度転がるゆい。よく滑りすぎて、そのままドアに
したたか頭をぶつけた。掃除しなきゃ良かったとかなり後悔。自分で立ち上がろうとする前に、ミーシャの踵が彼女の胸元をまさぐり、乱暴に上へと蹴上げた。態勢を立て直す暇もなく、そのまま抱きすくめられるようにミーシャの整った、いや、今は冷酷に歪んだ顔の前に突き出される。
「大丈夫ぅ~?ゆい?痛かったぁ?ごめんねぇ。少し、強く打ちすぎっちゃったかな~?」
「は、は…ヒッ(ミーシャが乱暴に自身の体を締め上げた)」
「ハイッ?じゃないでしょ~?ゆい?こーゆう時は何て言うって教えたっけ?」
「えっ?ヒィィッ(今度は彼女の手が自身のお尻をサディスティックに揺らす)」
「自分より、上だと思った人、ご主人様には何と言うの?んんっ?
(揺らす手がやがて、ゆいの首元に伸びてくる)」
「ワ…」
「んっ?聞こえないな?」
「ワンッ」
「そうそう、ハイ、良くできましたぁ~(パチパチ指を鳴らして、ゆいの頭を優しく撫でる)」
「ハハッ(ゆっくりミーシャから体を離す)」
少し安心するゆいの頭に冷酷な声が響き渡る。
「で、今後はあたし等がやる事に文句はないよね?ゆい~?」
恐らくなんて考えなくてもわかる事だが、返事をしなかったり、拒否をしたら、また同じ事が繰り返されるに違いない。恐ろしい連中と親友になってしまったもんだと改めて
後悔する。
(だけど、今回はそれで終わらないよ、ミーシャ!)
ゆいはそっと衣類の大き目ポケットから出した手のひらサイズの文庫本を出す。今、
この部屋にはミーシャの仲間達も全員いる。少年と犬は運び終えたようだから
(ゆいの能力は、一度開いた本なら、開きっぱなしにしている限り、彼女の使用制限なく、他者の通行が可能である。)
巻き込んでしまう心配はない。いつまでもやられてばかりの自分ではないという事を証明せねば。目を瞑って本の内容である世界観をイメージする。暗い場所、汚れた室内、何かが這いまわる異質音。やがて、その感覚が少しづつ目を開けた自分の…
目に映る現実の映像と合致してきた。ミーシャの仲間である強面がこちらに気づき、声をかけようとうするが、もう遅い。
最初のコメントを投稿しよう!