昼の一息

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 今まで平凡にみえていたこたつに、足をつっこんだ瞬間、そのちょうどいい暖かさが心身の疲労を労ってくれた。  12月30日。  だというのに、父、母、姉が、仕事、パート、バイトの為、一人で大掃除することになった俺。  リビング、キッチンで気力体力が一気に消費され、スマホで『トイレとお風呂は念入りにね』なんて母からの追い討ちをかけるメールをみて、一瞬頭に浮かんだ手抜きが許されない状況になってしまった。  やっと全ての掃除を終えたのは、午後三時を過ぎた頃だった。  そんな疲労困憊した俺を慰めてくれたのは、家族ではなくこたつだった。言葉なんていらない。おまえの暖かさがあれば充分だ。 「あー、もう動きたくない」  寝そべり、天井をただ眺めて過ごす時間が、なんだか至福のひとときだ。  腹の虫は鳴っているが、何かを作ったり、買いに出掛ける体力がまだ生成されない。
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