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―ミーヴァイル城大ホールー
「――ディア。楽しんでいるか」
きらびやかな祝賀パーティーは中盤を迎え、皆が泥酔し始めた頃。
姫君と傭兵の脱出計画が実行される。
「父上。うん、楽しいよ」
「そうか、ならよかった。昼間のお前は笑顔がなかったものでな、心配していたぞ」
記念日に計画を打ち立てる罪悪感のせいで笑顔がひきつっていた。
ディアは頬をパンパンと叩く。
父は目を丸くする。
「ど、どうしたのだディア??頬に蚊など止まっていないぞ?」
「私は大丈夫だから父上。
ミツエさん達と話して来るね」
厨房奥に居るミツエの元へ向かう。
なるべく大臣の視界に入らないようメイド達がガードしてくれている徹底ぶりだ。
ビール片手に納得のいかない大臣・エルドラ(中肉中背の中年)は不満を漏らす。
「くっ……ちっともディア姫の元へ行けん」
(大臣よ……。私もディアに無視された時は辛かったぞ)
親バカの王を見てメイド達は一言「お前もかい」と呟く……。
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