幸せのかたまり

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先々週までは、こゆきの他にも同居人がいた。約一年同棲していた同い年の彼氏だったが、麻結美のアパートの部屋に転がり込んで来た時と同じように、その少ない荷物と共に唐突に出て行って、彼と暮らす前のこゆきと二人の生活に戻った。 破局・・といえば破局なのだが、そんなドラマチックなものじゃないと麻結美は思っている。 大して行く気もなかった高校の時の同窓会に何となく出席して、その二次会で同じクラスだった彼と何となく意気投合し、そのまま成り行きでホテルに行った。 そしてどこが始まりなのか分からないうちに、いつの間にか恋人同士になり、お互いの仕事が休みの日にデートをしたりキスをしたり、一緒に住むようになってからは麻結美の狭いベッドの上で昼間から裸で抱き合ったり。しかしそんな何の進展もない恋は、いつかデートの最中に見た砂で作ったアート作品のように、サラサラとゆっくりゆっくり崩れて、気づかないうちに跡形もなく消えていた。
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