ー7ー 彼女の部屋

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 僕と妻がまだ付き合いたての頃  僕の友達カップル(信吾と里恵さん)と一緒に咲の部屋に遊びに行った。  それは、僕が咲のことをよく知ることができるようにと二人が気を配ってくれたからである。  僕にとって初めての咲の部屋。緊張とわくわくする気持ちで訪れた。  たくさん物があると想像していたが、思いのほか片付いていて、女の子の部屋と呼ぶには少し物足りない。棚にある日本各地の工芸品が目に付くくらいだった。 「おい、何固まってんだよ?」と信吾が僕のお腹を小突いた。 「思ったよりさっぱりしてる部屋だなーと」 「お前の妹の部屋と比べちゃいかんぞ。ここは咲ちゃんの部屋だ」 「そうだよー。咲のこと知りたいなら、この部屋をよーく見ること!ここは咲の頭の中そのものだもん」と里恵さんが楽しそうに笑った。 「うん。わかったよ」  僕ら三人のもとに咲が来て 「何か飲む?お茶しかないけど」 「飲むー!咲のおすすめは?」 「とうきび茶。香ばしくておいしいよ」 「じゃあ、みんなそれで!」里恵さんが元気よく手を挙げた。 「僕も手伝うよ」と咲の側に行く。  すると咲は僕を見上げ「ありがとう」と笑った。その瞬間、僕は息が止まった。この柔らかな笑顔が好きだと思った。
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