ー8ー 寂しい時

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 僕が出張や帰りが遅くなり、妻と離れている時間が長い日。  妻は決まって僕の服を着ている。  夏はTシャツ、冬はセーター。妻の体よりはるかに大きい服に着られている妻の姿を見ると、 「あぁ、寂しい思いをしていたんだな」と思う。  申し訳ないなという気持ちと、僕のことを考えてくれているいじらしくも嬉しい気持ちが生まれる。  妻は決して自分の口から寂しいとは言わない。だからこそ、態度で表してくれる妻の不器用さが可愛くて僕はいつも微笑んでしまう。
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