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僕が出張する時、荷造りは妻がしてくれる。
アイロンのかかったYシャツにハンカチ、靴もピカピカに磨いてくれている。
本当にありがたい。
ただ、毎回カバンを開けてびっくりする。
全くもって出張に関係のないものが入っているからだ。
鼻ひげメガネ、拡大鏡、おもちゃのパイプ。
そして丸々と太ったアニマルマスコットがゴロゴロ出てくる。
マスコットを机に並べ、鼻ひげメガネをかけ、パイプをくわえ、拡大鏡を持つ。
「探偵だ!」
急いで妻に電話をかける。
「わかったよ咲!探偵だね!」
「当たり!」コホンと咳払いをして妻はかしこまって続けた。
「では、幸介くん。マスコットたちの事件を解決してくれたまえ」
「事件!?」
「いかにも。期待しておるぞ。ほっほっほ」
電話が切れ、僕は笑う。
よーし!と腕まくりをして、妻からのサプライズを楽しむ。
また妻に電話をかけて、答えと今日の出来事と感謝を伝える。
離れていても僕を支えて、笑顔にしてくれる妻は大切な存在だ。
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