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すっかり日も落ちて、信吾と僕は男チームのテントで寝る準備をしていた。
「それで、咲ちゃんはどう?仲良く皿洗いに行ってたけど。うまくいってんの?」
寝転がっている信吾が唐突に聞いてきた。
「うまくいくって。まだ友達として始めたばかりだからな」
「ふーん。で、お前の気持ちはどうなの?」
「どうって?」
「お前は、咲ちゃんと今後、どういう風に付き合っていきたいんだよ?」
「とりあえず、咲さんのことを知りたいとは思う。友達想いで、命を大切にしてるし、素敵な人だと思う」
「そうなんだ。じゃあさ、咲ちゃんと恋人として付き合って、咲ちゃんが隣にいる人生ってのもありだと思う?」
「隣に」
僕は想像した。僕の隣に咲がいて、優しく笑っている。それを見て僕も笑う。胸のあたりが温かくなった。
「ありだな」信吾の言葉で僕はハッとした。
「え?」
「うん。ありだ」信吾はにやにやと笑って僕を見ていた。
「言っとくけど、相手にだって選ぶ権利があるんだからな。僕は外に出てるから、先に寝てろ」
顔が赤くなるのを見られないように、慌ててテントの外に出た。
焚き火の近くの椅子に咲が座っていた。僕は深呼吸を一つして近づいた。
「あの、隣、いいかな?」
「はい」
僕は少しドキドキしながら咲の隣に座った。
星空に虫の声。夏の夜の中、僕と咲は他愛のない話をした。
一つ一つ咲を知って、一つ一つ咲を好きになっていった。
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