ー14ー 手をつないで

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 休日デートで妻と動物園に来た。  近場に大きな動物園があるのだが、そこへは行かず遠いこの動物園にした。  妻が言うには、人が多くなく動物たちをゆっくり観察できるし、マニアックな動物がいるそうだ。  世界のクマを見た後、小さな男の子が一人で道の端で不安そうに立っていた。 「迷子かな?」 「うん。声かけてみようか?」  僕と妻が男の子に声をかけた。話を聞くと、両親とはぐれてしまったようだ。  ご両親を探しながらインフォメーションセンターまで行くことにした。僕は男の子と手をつないで歩いた。  インフォメーションセンターに着いた時 「おかあさん!」  と男の子が駆け出した。そこには男の子の両親らしき二人がいた。  母親に抱き締められ、男の子は安心したのか大きな声で泣き出した。 「息子を連れてきてくださり、ありがとうございます」ホッとした表情の父親が僕たちに頭を下げた。 「いいえ。ここで会えてよかったです」 「ほら、ありがとうございますは?」 「ありがと、ございます」母親に促された男の子は真っ赤な顔をして僕たち二人を見た。 「どういたしまして。よく頑張ったね」 「えらかったね」  僕と妻は男の子の頭を撫でた。男の子はうんと頷いた。少し誇らしげだった。
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