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休日デートで妻と動物園に来た。
近場に大きな動物園があるのだが、そこへは行かず遠いこの動物園にした。
妻が言うには、人が多くなく動物たちをゆっくり観察できるし、マニアックな動物がいるそうだ。
世界のクマを見た後、小さな男の子が一人で道の端で不安そうに立っていた。
「迷子かな?」
「うん。声かけてみようか?」
僕と妻が男の子に声をかけた。話を聞くと、両親とはぐれてしまったようだ。
ご両親を探しながらインフォメーションセンターまで行くことにした。僕は男の子と手をつないで歩いた。
インフォメーションセンターに着いた時
「おかあさん!」
と男の子が駆け出した。そこには男の子の両親らしき二人がいた。
母親に抱き締められ、男の子は安心したのか大きな声で泣き出した。
「息子を連れてきてくださり、ありがとうございます」ホッとした表情の父親が僕たちに頭を下げた。
「いいえ。ここで会えてよかったです」
「ほら、ありがとうございますは?」
「ありがと、ございます」母親に促された男の子は真っ赤な顔をして僕たち二人を見た。
「どういたしまして。よく頑張ったね」
「えらかったね」
僕と妻は男の子の頭を撫でた。男の子はうんと頷いた。少し誇らしげだった。
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