ー14ー 手をつないで

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 帰る三人を見送った。男の子は両親と手をつないで、何度も僕たちを振り返っていた。 「見つかって良かったね」 「うん」 「あんなに小さいのに、よく頑張ったよ。きっと不安でいっぱいだったろうな。小さい手で、一生懸命つかんでいるんだよね」 「うん」 「咲?」僕は妻の顔を覗き込んだ。 「え?うん。すごく強い子だと思う」  そう言って妻は無理に笑った。僕の胸がズキンと痛んだ。 「咲、無理しないで」 「無理してない」 「してるよ」僕は妻の目を見た。 「・・・ごめんね。幸ちゃん」妻は悲しそうに謝った。 「謝る必要なんてない。咲は悪くない。誓い、忘れていないよね?」  妻は頷いた。 「咲が安心するなら、何度でも言うよ」僕は妻の両手を握った。 「苦しい時、悲しい時、僕は側にいる。大丈夫だよ。咲」 「うん。大丈夫。幸ちゃんがいるから、大丈夫」妻は静かに笑った。 「続き、回ろうか。あの動物見るんだろ?何だっけあの・・・」 「ハダカデバネズミ」 「うん、それだ!」  僕と妻は手をつないで歩き出した。
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