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結婚記念日が近づくと、今年は妻に何を贈ろうかと考える。
それと同時に、僕が妻にプロポーズをした時のことを思い出す。
毎年、あの誓いを思い出す。
咲に病気が見つかった。子宮に悪性の腫瘍があって、子宮を摘出しないと命に関わる。電話で咲は淡々と言っていた。
僕は何も考えられなかった。ただ、涙が出た。咲を想った。
咲は大丈夫だろうか?何を感じたのだろうか?何を思っているだろうか?子宮は女性にとって大切なものだ。咲はどうなってしまうのだろうか。
入院している咲に会った。咲はいつも通りの咲だった。僕はひどい顔をしていたようで、僕を見て「ひどい顔」と笑った。
「手術三日後だって?」
「うん。早い方がいいって先生が言ってた」
「食べたいものとか欲しいものがあったら何でも言って」
「うん、ありがとう」咲はただ笑っていた。僕を安心させるように。
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