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妻と出会ったのは今から5年前。
僕の友達 信吾(しんご)。そして信吾の彼女の里恵(りえ)さん。
里恵さんの友達が妻になる咲だった。
僕と咲はこの二人の紹介によって出会った。
二人から咲は、とても良い子でただ少し個性的だと聞いていた。
会ってみると、穏やかで自由な印象だった。笑った顔が素敵だった。
「あの」咲が口を開いた。
「はい」何だろうと咲を見た。
「クモは好きですか?」
「えっ?くも?空の?糸の?」
僕が尋ねても咲は黙ったまま僕を見つめていた。
「そうだな。空の雲は夏の雲が好きだな。入道雲っていうのかな?あの力強さがいいと思う。糸のクモは益虫って言うくらいだし、僕の祖父母が住んでいる地域ではクモの相撲もやってて、みんなクモを大切にしてる。だから、僕も大切にしないとって思っているよ」
すると咲がふっと笑った。
「よかったね!咲!クモファンだってさ」
里恵さんが嬉しそうに咲に笑いかけた。
「さすが幸介!俺の目に狂いはなかった」
信吾が満足気に頷いていた。
僕は少し照れ臭かった。
後から聞いた妻からの僕の印象は「ふわふわのぬいぐるみ」
やわらかくて、安心して、笑顔になれる。そんなぬいぐるみ。
今ではふわふわではなく、しっかりと脂肪がのった僕のお腹を撫でる妻はやわらかく笑っている。
僕は妻に安心と笑顔を与えられているといいな。
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