序章 夢現世

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機械の獣(車)に乗り込む私達、ドライブの最中だったのだろうか、彼女(皇女)と呼ぶべき人を連れて私は友人らと共に車内で会話をしていた。退屈な時間凌ぎには丁度良い、そう思う刹那に友人の一人が車体を点検したいと言い皆に車内から降りるよう促した。 『よし、異常なし。出発!』 突如、私達が降りた途端にそう言葉が聞こえた、すると此方に気付かない友人達はそのままエンジンを吹かして機械の獣を稼働させる。去り行く間際、私は彼女を連れて急いで彼等を追いかける、だが当然ながらに駈け足と乗り物が間に合う筈も無かった。 置いてきぼりにされた私と、貴女。その様子に焦りながらも無我夢中で車を追ったのだが、辿り着いた場所は見知らぬ土地で、まるでオズのような黄色い煉瓦の道筋が見えてきた。それを辿れば友人達と合流出来る、私達はそう過信して疑う事さえしなかった。 「……あっ、この人形あの子に返さなきゃ。では行きましょうか、皇女?」 二人きりになり、少しだけ嬉しかった私は彼女にそう言ってふざけてみる。そんな言葉に違和感が無いのも、きっと何かしら意味があったのだろうか、母は共に笑い合ってくれた。そう、私の大切な強い絆で結ばれた存在とはお母さんの事だ。 友達、なんて要らない。だって、母が何よりも大好きで尊敬する人だから。車に乗車していたのも勿論最初は彼女の友人達で、私はおまけで旅行に着いて来たような感じだ。マザコン、そう自身で思いながらに密かに苦笑して黄色い煉瓦の道筋を辿って行く。 手にはあの子から預かった、雛(ひよこ)の小さな二つの人形を持っていた。しかし、辿り着いた先は大きなお菓子の城だった、否。玩具の城なのだろうか、随分と奇妙な所に出たものだ。水色で左目が剥き出しに飛び出た雛の人形と、黄色い通常的な雛のそれを抱えて私は絶句する。 「ねえ、見て。クレーンゲーム機があるよ?」 「えっ、凄い、何。この簡単に取れそうな配置の良さ、遊園地かな?ちょっとやってみようよー」 と私が言う前に、母がクレーンゲーム機を覗き込む、だが同時にもう一個の人形が機械の内部に落ちてしまう。全部で三体の縫いぐるみ、黒猫のそれを彼女はあろうことか取ろうと機械の出口に手を突っ込む事で何とか取り出そうと試みる。 「ち、ちょっと。流石にお金入れてからじゃないと!」
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