序章 夢現世

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私の制止に彼女ははっとし、急いでお金を投入口に入れるも、一足遅かった。突如、鳴り響いた警告音、機械から人形が喚き出す。明らかに異様な事態に、私は背後の気配に逸速く気付いた、そして謎の衛兵らしき三人が何処から現れたのか母に槍を構えている。 絶体絶命の危機だ、私はその光景に焦るあまり突拍子にも無くすさかず手にしていたあの雛の人形を翳す。そして、まるで馬鹿げているとは思うが咄嗟にこう言い放った。 「ええーい!我こそは、伝説の雛なる者ぞ。主らは何も知らず、まさか我が国の権力者に逆らうと言うのか?」 雛を崇めるとか、私は一体何を口走っているのか。伝説の雛、かっこ笑いの絵文字を言葉の語尾に付けたい位だ、口から出任せを言い退ける私に流石に衛兵らしき三人は固まる。と、即座に騒然とし始め彼等は一冊の伝記を掲げてこれかと訊いてきた。まさか、本当に存在するなんて思ってもみない。 軈て彼等は、魔女かと話し出した。その一面にはあの水色の不気味な雛人形が紫のマントに身を包み、神様らしく描かれていた。何やら絵が違い過ぎているような気もするが、私は咄嗟にそうだと言い切ってしまった。まさかこれが最悪の事態の引金になるなんて、想定していなかった。 『ま、魔女だと?退け、衛兵退却ー』 拒まれた、戦線離脱でもしたのだろうか。だがお陰で殺されずに済んだ母は安堵の息を吐く、けれど私には何故だかこの直後に起きる事が手に取るように見えた、そして自身は呟く。魔道兵が来ると、そう言ったと同時に再び先程とは違う武装をした兵士が三人現れる。 「……フ、ファイアブリザード!」 突如、自身はそう呪文を唱えていた。と不意打ちをされた魔道兵士らはど儀間を抜かれたが如く、諸にその火炎を喰らってしまう、だが余り効果がなかったのか彼等は怯みながらに同様に魔法を撃ってくる。しかし、それよりも早く私は次なる魔法で迎え撃った。 「……絶対零度!」 『ぐ、ぐあああっ……』 「火が駄目なら、氷。喰らってみろ、ブリザード氷!」 呪文が滅茶苦茶になってきた、しかし兵士らは連撃に堪えかねるあまり運悪く真下に続く階段から滑り転がり落ちて気を失った。雑魚、だ、瞬時に私はそう油断していると。残りの魔道兵が、私達を取り囲む。 「っち、仕方ねぇ。数は二人か。何でも有りの世界なら、魔法なんて無限に撃てるんだ。喰らいやがれ、コールドブリザード!」
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