32人が本棚に入れています
本棚に追加
「さくらは確か、初等科を卒業と同時に、北海道に引っ越したんだったよね」
美百合は龍一に持ってこさせたスパークリングワインのグラスを口に運びながら言う。
「うん、引っ越したっていうより戻ったんだけどね。おじいちゃんの体調が悪くなっちゃって」
アルコールにあまり強くないのか、美百合はグラスワイン半分でもう赤くなっている。
ちなみにさくらの前に出てきたのはオレンジジュースだ。
「あれー、さくらはお酒飲めないの?」
美百合に聞かれ、
「ううん、そんなことはないけど」
「じゃあ、何か飲む?」
「同じもので」
という会話があって初めて、ワインのグラスが出てきたけれど、龍一の歓迎していない感情をひしひしと感じる。
それでも口に含んだワインは、とても美味しかった。
最初のコメントを投稿しよう!